アプリが世に出たのはすいぶん前(2015年9月1日)の話だが、iPhoneでYouTube Liveができるアプリ「Wirecast Go」。
Wirecastはニコ生やツイキャス、YouTube LiveなどのRTMPサーバーアドレスが公開されたライブストリーミングプラットフォームなどで配信をするときに使われているWindows OSおよびMacOSで動作可能なソフトウェアのひとつ。これのiPhone(iOS)版が「Wirecast Go」と理解で(とりあえず)いいかもしれない。
http://www.telestream.net/wirecast-go/overview.htm
iPhoneからYouTube Live配信できる
個人配信者が良く利用する「ツイキャス」や「ニコ生」と異なり、YouTube Liveはどちらかというとプロモーションの一環として企業が利用するといったイメージが先行してて、「iPhoneからYouTube Live」と言われてもあまりピンと来ない。
でも、よく考えてみたら、YouTube LiveではiPhoneなどのスマートフォンから配信する手段がこれまで皆無。YouTubeを活用する人(いわゆるYouTuber)がスマートフォンからライブで配信する方法のひとつになるかもしれない(実用性はともかく)。
理論上はニコ生やツイキャスでも利用可能だが…
「Wirecast Go」は無料でYouTube Liveへの配信が可能。そして、別途720円(※2015年12月22日現在)のアプリ内課金によって、YouTube Live以外のRTMPストリーミングサーバーへの配信もできる。ということは、ツイキャス・ニコ生・UstreamなどRTMPサーバーアドレスが公開されているライブストリーミングプラットフォームにも配信が理論上では可能だ。
しかし、現時点では「配信ビットレートの設定を変えることができない」ため、配信ビットレートに制限があるライブストリーミングサービスは事実上「Wirecast Go」を使うことができない。おそらくこれは将来的になんらかのアップデートをされることに期待するしかいまのところない。
Wirecast Goの面白そうなところ
Wirecastに親しみがない人には最初ちょっととっつきにくいかもしれないが、Wirecast Goでは「(イン・アウトどちらかの)カメラデバイスとカメラロール内にある画像」を最大3つ組み合わせた画面づくりをすることが可能。
上記のスクリーンショットは
- 上段レイヤー:未設定
- 中段レイヤー:カメラロールにあった(縦長)画像
- 下段レイヤー:(アウト)カメラデバイス
で構成された画面レイアウト。これらのレイヤー(という表記が正しいかよくわからないが)はピンチアウトすることによって大きさを変えることができたり、画像表示位置も変えることが可能。画面レイアウトを組み合わせるこういった仕組みがあるのは「Wirecast Go」の優位性のひとつかも。
そして、これらのレイヤーの組み合わせを「ショット」として保存できる。但し、アプリ内課金をしていない場合は2つまで、アプリ内課金をした場合は無制限にショットを保存することができる。
上記の例は
- ひとつめのショット(3つのレイヤーの組み合わせその1)
- 上段レイヤー:未設定
- 中段レイヤー:未設定
- 下段レイヤー:(アウト)カメラデバイス
- ふたつめのショット(3つのレイヤーの組み合わせその2)
- 上段レイヤー:未設定
- 中段レイヤー:カメラロールにあった(縦長)画像
- 下段レイヤー:(アウト)カメラデバイス
といった感じにふたつのショットを登録しておくことにより、それぞれのショットを切り替えるようなことができる。これはちょっと便利かもね。
これから「Wirecast Go」に期待したいコト
ちょっとだけ使ってみただけだけど、まだまだ「Wirecast Go」がイマイチなところがいくつか。最後に期待したいコトをまとめてみた。
- 配信ビットレートを変更できるようになってほしい
- 先に書いた通り、ツイキャスやニコ生の方に配信ビットレートの制限があるプラットフォームでは事実上利用が難しい。
- 電波状態が貧弱だとすぐに配信が止まってしまう。そして一回止まってしまうと復帰がなかなか難しい感じで、一旦配信を止めないとダメそう(いまのところ)。
- インカメラとアウトカメラそれぞれ一つのカメラデバイスとして認識してほしい
- そうすると、下段レイヤーに「アウトカメラデバイス」、中段レイヤーに「インカメラデバイス」という画面レイアウトが可能になると面白いのですが… これはiOSの仕様上なかなか難しいところかしら。
- アプリ自体の挙動が少し不安定
- いまのところiOSしかない